いろいろ話をうかがったが、そろそろ核心の質問に入ることにした。三人四脚のMTコネクターづくりの流れと、必要な時間である。「普通のMTコネクターなら治療回数は2〜3回、難しいものでも4〜5回来ていただければ完成します」先生はこともなげに言うが、遠方から来られる患者さんのニーズに応えているうちにそうなったという。「入れ歯は毎日使うものです。完成までに時間がかかればかがあるほど、生活に不便が生じます。私はなるべく少ない回数で、短期間でMTコネクターをつくるように心がけています。患者さんの時間的な負担も軽くできますし、集中的に作業をしたほうが精度の高いものができます」ここで、MTコネクターがつくられる流れを紹介しよう。最初にT先生が口腔診断をおこない、カウンセリングがおこなわれる。T先生のカウンセリングには時間がたっぷり割かれる。2〜3時間かかることも珍しくなく、患者さんの疑問の一つひとつに丁寧な説明かおこなわれる。「先生も、『とにかく何でもいいから、疑問があったら聞いてください』と言われるように、私も『分からないことがあれば、何でも聞いてください』と申し上げます。いろいろ患者さんと話をさせていただき、そのうえで『他に質問はありませんか?』と何回も念を押します」患者さんの状況を十分に把握し、次に先生が患者さんからの相談を受ける。この相談は無料だ。相談のポイントは、入れ歯への不満、不都合、悩んでいること、困っていること、つくる入れ歯への希望などになる。「ここでお願いしていることは、何でも話していただきたいということです。最初に何でも話していただくと、入れ歯づくりに貴重な参考になるからです。私のほうも、ここまでなら完全にできる、ここは難しいとお話しします。そこまで話をしたうえで進めないと、患者さんが不幸になります」このとき、先生の言葉に力が入った。何でも話してほしいと言われても、どんなことを話せばいいのか見当がつかない。先生はどんな内容を期待しているのだろうか?「いえ、期待している内容などはありません。とにかく、何でも話していただきたい。一人ひとりの生活も違えば、口の中の状態も違います。ほんの些細なことが、その人に合ったMTコネクターづくりで大きなヒントになることもあります」入れ歯をはめている人は、入れ歯を外して先生に見てもらう。先生にとって、現在はめている入れ歯を見ることは、非常に垂要な意味を持っている。「入れ歯を見ると、どこが噛んでいないか、なぜ痛いか、なぜ外れやすいかといったことのおおよその見当がつきます。入れ歯の状態や患者さんからうかがった話を総合し、どんな入れ歯をつくればよいかの青写真を描きます」このあと、MTコネクターのサンプルが示され、説明を受ける。T先生の口腔診断とカウンセリング、先生との相談のあと、何例かの見積もりが出される。患者さんは、受けたMTコネクターの説明と見積書をじつくり検討することになる。返事は当日でもよいし、じつくり時間をかけて考えてから後日返事をしてもかまわない。口腔診断はレントゲンなどを使用するため料金がかかるが、先生の相談は無料だ。