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「バランスよく」は、なぜウケないのかそのわけ

2011年02月02日

「バランスのよい食事」論は、本当に肌のためであるのに、なぜ患者さんにもマスコミにもウケないか。まず、それではつまらないし、夢がないからだろう。何がいいとか悪いとか、はっきり言ってもらわないと頑張る気力もわいてこない。第一、それでは健康番組は毎回5分で終わってしまう。「今日のテーマは肌老化です。お肌の老化を防ぐには、みなさんバランスのよいお食事を」では、そこで話が終わってしまって、番組にならない。反対に、「これさえ食べれば、○○が治る」という話は、とにかくめちゃくちゃウケがいい。テレビで取り上げられた食材がスーパーから売り切れる様は、オイルショックのときのトイレットペーパーを彷彿とさせる。なぜこうなのか。まず、食べ物はとっつきやすい。「毎日リンゴを食べれば高血圧が改善する」というのがテレビからはやったことがあったが、「高血圧の新薬が出ました」とテレビで言ってみても、同じように大ブームになることはありえない。薬にたよらず治したい、という気持ちが誰にでもある。食べ物のような無害なもので治ったらよいと、誰しも願う。人々の頭の中に、「薬は悪玉で、食べ物は善玉」という図式があるのだろう。しかし、そうだろうか。薬の中には食べ物から開発されたものがたくさんある、というのを、聞いたことがあるだろう。例えばリンゴの中に何かしら血圧によい成分があるとしよう。でも、たくさん食べれば糖分のとりすぎが問題になるだろう。だったら、血圧によい部分だけを取り出してエキスにすると、血圧の薬がひとつできる。動物、さらに人間を使った安全テストが何年も行われて、薬として認可される。リンゴだけたくさん食べるという行為は、本当に薬を飲むより安全だろうか。「食べ物は薬ではないから、むやみにとるものではない」というのは、そういう意味なのである。毎日食べていた百円の野菜や果物などに、実は、美容や健康を生み出す密かなパワーがかくされていた……。それはそれで、夢のある話ではある。桃の中に桃太郎がいたように、竹の中にかぐや姫がいたように……。「何気ないものの中に宿る、秘密のパワー」という発想は、日本人の憧憬に火をつけるのかもしれない。でも、それはそれであくまで憧憬にとどめるべきであり、オイルショックのときの主婦のように、本気でスーパーに走ってはいけない。それは桃太郎を読んで桃を買い占めに走るのに近い行為だからである。

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